Jackと英語の木

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zoom RSS chickenは料理されてもchickenなのに何故cowはbeefでpigはporkに変わるのか?

<<   作成日時 : 2013/07/19 19:22   >>

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レストランで「ビーフステーキを食べる」といいますが、「牛(Cow)を食べる」と言いませんね。同様に「ポークソテーを食べる」とは言いますが、「豚(Pig)を食べる」とは言いません。では鳥を食べるときはチキンカレーなどと呼び、生きている鳥もチキン(Chicken)と呼び、なぜか共通です。英語では食卓に上がると、同じ動物なのに違う呼び方はどうして出来たのでしょうか。動物の呼び方には複雑は種類があり、なんかめんどうで覚えきれません。

そんなことで、今回は勉強がてら、生きた動物と肉になったの呼び方を調べてみました。

★1000年前、イギリスはフランスのノルマン人に征服され、それが300年間続きました★

英語では牛のこととはcow「雌牛」、ox(去勢された雄牛),bull「雄牛」とありますが、牛肉になるとは一般的にはbeef子牛の肉veal になります。また豚はpigですが、豚肉はporkと変わります。羊はsheepですが、羊の肉はmutton(マトン)で、lamb が子羊の肉となり、鹿deer の肉はvenisonです。このように生きている動物と肉になった状態では呼び方が変わります。それはなぜでしょうか。日本では牛と牛肉、豚と豚肉と肉を付けるだけです。何故英語では変わるのでしょうか?しかし鶏は総称がchickenで、雄鶏が cock, 雌鶏がhenですが、鶏肉はやはりchickenで、生きている状態と呼び方が変わりません。何か複雑で覚えにくいですね。

これにはちょっとした歴史的な由来があります。

イギリスの11世紀頃の話です。エドワード懺悔王(Edward the Confessor)はその名の通リ懺悔(ざんげ)が多い信心深い王様でした。しかしその統治はあまりうまくいってなかった。彼には世継ぎがいなかったので、周辺の豪族はイングランド王の地位を狙っていました。そのころフランスのノルマンディー公、すなわち後のウィリアム1世(William I,=ギヨーム2世、1027年 - 1087年)は懺悔王の親戚でもあり、ギヨームは1052年にイングランドへ渡ったおり、懺悔王から王位継承を約束されたとされています(懺悔王の母エマはギヨームの大叔母であり、懺悔王は従叔父に当たります)。ウィリアム/Williamは英語読みで、フランス語読みのギヨーム(Guillaume)と呼ばれることが多いので以後ギヨームとします。

1066年1月にエドワード懺悔王が死去すると、王の親戚であるハロルドという貴族が王位の名乗りをあげて、イングランド王ハロルド2世として即位しました。しかしハロルドの地位は不安定で、その弟と敵対していました。さらにフランスのギヨームも、エドワード懺悔王との約束を掲げて、1066年9月、ノルマンディの海岸から300隻の船で、6000人の騎士を含む12000の兵を率いてイングランド南岸サセックスに侵攻しました。ハロルドは弟との戦いには勝ちましたが、ギョームとはヘイスティングズの戦いで負けてしましました。その後ギヨームはいわゆるウィリアム征服王(William the Conqueror)と呼ばれ、ノルマン王朝の開祖で、現在まで続くイギリス王室とは、何らかの血がつながっている王朝の始まりを作りました。1066年12月25日、ギヨームはウェストミンスター寺院で、イングランド王ウィリアム1世として戴冠しました。このようなノルマン人によるイギリス制服をノルマン・コンクェスト(Norman conquest)と呼んでいます。ウィリアム1世はフランス国王の臣下にして、イングランド王の地位になったのです。かれはフランス北部のノルマンディ地方のノルマンディ公も兼ねていました。当時はこのような複雑な王室関係がヨーロッパの国々にあありました。

ウィリアム征服王(William the Conqueror)とフランス、ノルマンディ地方

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ちょっとここで横道に反れますが、ウィリアム1世兼ノルマンディー公モン・サン・ミシェルの関係を話しておきます。その頃、歴代のノルマンディー公は、世界遺産となっているモン・サン・ミシェルの修道院を、財政的に継続的に援助していました。その財政支援もあって、しだいに今の海に浮かぶ壮麗になゴシック様式の大修道院が築かれたのです。このような事情から、モン・サン・ミシェルの修道院はノルマン・コンクエストを支持していました。その証拠に、モン・サン・ミシェルの修道院は、イングランドにいくつかの所領を与えられました。その所領の中に、イギリス南西部のコーンウォールにある、セント・マイケルズ・マウントがありますが、この名前はフランス語で言うとモン・サン・ミシェルとなるのです。もちろんそこにも修道院が建てられました。モン・サン・ミッシェル(Mont Saint-Michel)も、セント・マイケルズ・マウント(St Michael's Mount)も日本語訳にすると「聖ミカエルの山」で同じです。

セント・マイケルズ・マウント(St Michael's Mount)

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イギリスのモン・サン・ミッシェルである「セント・マイケルズ・マウント」」(St Michael's Mount)の案内

http://www.eigowithluke.com/2012/10/saint-michaels-mount/


★Chicken(チキン)は料理されてもチキンなのに、何故Cow(牛)はBeef(ビーフ)で、Pig(豚)はPork(ポーク)に変わるのでしょうか?★

上述の通リ、英語では一部に生きている状態での動物と、肉や食卓に上がった状態では違う呼び方があります。これは他の言語ではあまり見られないことのようです。これには上に書いた、いわゆるノルマン・コンクェスト呼ばれるフランスのノルマンディ公のよるイギリス占領の影響があります。

ノルマン人は元はスカンジナビア方面にいました。彼らは家畜を育てる民族でしたが、いわゆるノルマンの大移動でフランス、ノルマンディに移住し、そこで力を付け、1066年にはノルマンディ公のギヨーム(ウィリアム1世)はイングランドを征服しました。そしてノルマン朝時代になると、イギリスはノルマン系フランス人が支配者となり、イングランドの先住民であるサクソン人を召使に使っていました。牛や羊などの家畜の番をしていたサクソン人は、自分たちが世話をしている牛を、cow (ox) と呼んでいましたが、その料理された肉を食べる主人のフランス人は、フランス語からきたbeef と呼んだのです。こんな事情から家畜されていた牛、豚、羊は、料理されると、呼び名が変わってしまったのです。ビーフ(beef)はフランス語boeuf「牛」から、ポーク(pork)はフランス語の豚のporcから、マトンmuttonはフランス語の羊のmoutonからきたと言われます。このように英語では変化しますが、フランス語では牛、豚など動物名と食肉名が同じ呼び方だそうです。

こうして、料理の言葉はフランス語が多く使われ、英語もそのままフランス語を借用するようになりました。例えば、オムレツomelette、グラタンgratin、コロッケcroquette、コンソメconsomme、ポタージュpotage、ソティsaute等です。

●動物が肉に変わると変化する言葉:

・牛:cow雌牛/ox去勢された雄牛/bull雄牛/calf子牛 ⇒ 牛肉:beef、子牛の肉:veal

・豚:pig豚/swine豚族の総称/piglet子豚 ⇒ 豚肉:pork

・羊:sheep羊 ⇒羊の肉:mutton、子羊の肉:lamb

・家畜化された鳥:fowl   ⇒ 家畜化された鳥の肉:poultry

・鹿:deer鹿/fawn小鹿 ⇒ 鹿肉:venison    

注:鶏(にわとり):chicken鶏総称/cock, rooster雄鶏,/hen雌鶏 /chick子鶏 ⇒鶏肉になってもchicken

牛(Cow/Ox)

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牛(Cow)は肉になるとBeef

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古いイギリスでは、鶏肉を食べた時に、「鶏の肉を食べた」と言わずに、普通に「鶏を食べた」と言っっていたようで、すなわち"I ate chicken".でした。ところが牛や豚については、ノルマンによる占領後、牛や豚を食べる習慣がイギリスに入って来て、「牛を食べた」、「豚を食べた」(eat cow/eat pig) と言っていたのが、次第に上流階級では、フランス語系の、肉はbeef、porkの言い方が主流になって定着していきました。要するにイギリスでは、もともと肉と言うと、鶏肉chikenが主流であったので、鶏だけは、肉になっても古くからの言い方のchikenがそのままになったらしい。

スコットランドの小説家、ウォルター・スコットWalter Scott(1771〜1832)は「アイヴァンホー」(Ivanhoe):1819年)という騎士道物語を書いて有名ですが、その中で道化師に「生きている間その動物の世話をするのはサクソン人の農奴だけど、一度殺されて食肉になるとこれを口にするのは支配者フランス人だということにほかならない。」と言わせしめています。こうしたことからも当時のサクソン人とノルマン人の区別が分かりますね。現在でもイギリスの法定では判事、弁護士は中世フランスで頭に被っていた白いカツラを付けています。これなど、その後でできた慣習ですが、フランスのイギリスへの影響が、まさに今でもわかるあかしの一つです。

ウォルター・スコットWalter Scottのアイヴァンホー

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今でも使われている法廷での白いカツラ。廃止の話もあるがまだ継続使用。

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このように、ノルマン王朝では、初めのうちは、英語は宮廷や法廷などの公的な場や上流階級の生活の中では使われなくなりましたが、ノルマン王朝が長く支配するようになると、両民族の融合が徐々に進み、英語は国語としての地位を序々に取り戻しました。ノルマン人も、フランスの領地を並行しては次第に支配できなくなり、イギリス化が進みました。この過程において英語の語彙はノルマンディのある北フランス系統のフランス語を取り入れた複雑な変化を余儀なくされました。すなわち5世紀から11世紀初めまでイギリスを支配していたサクソン人の使っていた古い言語である英語(本来語)外来語が入り混じるようになったのです。

しかし、人々の生活に密着するような言葉は変わりにくいようで、親族をあらわす語のfather、mother、daughter、son、sister、brother、wife、husband など近くの関係するものは本来語で、フランス語化はしなかったのです。ところが、少し離れた親戚関係のaunt、uncle、nephew、niece、cousin はフランス語の影響であり、これらの同義の古くからの本来語の英語は死語になって使われなくなりました。一般的に英語では、本来語のほうが簡潔で日常的で優しい感じがあり、フランス語系の語は改まった感じがします。本来語の方が日常使うにはやさしく、相手に「すー」と入ってゆく説得力があり、フランス語系はやや硬い感じがします。英語で、ちょっと何となく難しい単語だなと思うのは、たいてい外来語です。そんなこともあって、私はなるべく英語では、やさしい本来語を使うように心がけています。

ここでちょっと横道です。皆さん、の呼び方にdoveとpigeonがあり、どうして?と思いませんか?doveは英語では古来からの本来語ですが、pigeonはノルマン王朝の時代に仏語から入ってきた単語です。今では、その区別としては、平和や聖霊の象徴としてはdoveで、また小さい種類のものを「dove」と呼ぶそうです。また「ハト派、タカ派」の時の使い方は「dove, hawk」という言い方になっています。pigeon は街中で一般的に見える野生の鳩を指します。聖書の創世記のノアの箱舟の話にある大洪水の後,外に出てもよいか確かめるために、ノアが放った最初の鳥はで英語ではdoveとなっています。このように英語では同じものを違う言葉で言う場合が多々あり、動物にはそれが多く、それをどうやって区別して使い分けるかは、私たちにはなかなかやっかいな問題です。

ノアの箱舟伝説:洪水のあと最初に放たれた鳩(Dove)

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ある統計によると、使用頻度の高い英単語1000語のうち、本来語は62%です。しかしもう少しレベルの高い必要な20,000語も含めた統計では、本来語の占める割合は19%にまで下がってしまい、他の80%あまりがラテン語、フランス語、ギリシア語などを語源とする借入語です。現在使われている英語は、フランス語、ラテン語、ギリシャ語など本来語との複雑な混成語といえます。しかし、ある意味、いろいろなところを取り入れたバランスの良い言葉ともいえます。

現在のイギリス王朝はウィンザー王朝ですが、これもウィリアム1世からどこかでつながる縁のある王室で、言葉もそのころから変わったとは、歴史の重みを感じます。余談ですが、ノルマン人バイキングの一部でもあり、ギヨームもその子孫なので、よく「イギリス王室なんて海賊あがりだよ」という根拠にもなっています。


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今回は私自身がこのテーマ(同じ動物で何故肉になると呼び方が変わるか)について、以前より疑問があり、今までに調べたことをまとめ、肉付けして書いてみました。動物の名前、ノルマン・コンクエストと単発に書いてある記事はありますが、総合的に、やさしく書いてある記事があまり見当たらないので、あえて書きました。これは自分の勉強にもなりました。興味ある方はこの記事を何回か見て覚えてみてください。まだ書こうと思えば、関連して「動物の子供の名前」、「動物の群れの呼び方」などありますが、今回はこれでやめておきます。
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Jackさんの詳しい説明を楽しく読ませていただきました。英語の本来語のほかに外来語のはなし、複雑に歴史と関係ある事を知り、参考になりました、日本の外来語もチェックすると歴史まで学ぶことになり楽しいでしょうね。今回の話は一度では覚えきれないので、疑問を持ったおりには是非読みにきたいと思っています。
Anne
2013/07/19 21:36
Anneさん
ある単語を使うとき、一言で説明できる難しい単語を使うのは楽です。しかしそれでは多くの人に見聞きしてもらいたい場合は、説得力と相手への理解が少ないのにしばらく前に気づき、自身もその体験をしました。それ以来、なるべくやさしい本来語を使っています。そんなことで、上述の歴史的な経緯を知る必要性があり、これだけでなく他のことも調べてこれを書きました。

日本語も結構、外国の影響があります。今では広告など見ると、カタカナばかりです。日本古来の美しい表現を持った日本語が、次第に廃れてゆくのは寂しい気がします。本来語と外来語をバランスよくどう使うか英語、日本語とも微妙なところがあります。

この辺まだまだ勉強、知識が足らないと思っています。
Jack
2013/07/20 16:51

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