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zoom RSS "Tomorrow is another day"は「明日は明日の風が吹く」でいいですか?

<<   作成日時 : 2011/10/16 17:13   >>

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少し前にこのブログで好きな言葉として「一隅を照らす」について書きました。私にはそのほかにもいくつか好きな言葉があります。それは映画「風とともに去りぬ」(Gone with the wind)でビビアン・リー扮するスカーレット・オハラが最後の場面で言った言葉で、Tomorrow is another dayです。日本語では「明日は明日の風が吹く」になっており、これが当時の流行言葉にもなりました。今でもよく使われますが、この映画でのこの言葉はちょっと違うかなと思われる訳になっています。

この言葉は下記の英語のつながりで出てきます。最後の場面でスカーレットが叫びます。

Scarlett:Tara! Home. I'll go home. And I'll think of some way to get him back. After all... tomorrow is another day.

(スカーレット:タラがあるわ!故郷よ。そして彼が戻ってくる方法を考えればいいわ。だから明日は別の日になるのよ。)

"Tomorrow is another day"は直訳すると「明日は別の日だ」です。この映画の訳では、それと似たような少しぎこちない訳になっていました。しかしその後、この言葉が映画の中の名言としてもてはやされてくると、次第に流行語の「明日は明日の風が吹く」が"Tomorrow is another day"の日本語訳のようになって来たのです。映画の物語の展開を考えると、こんな投げやりな楽天的な思いで、この言葉を最後の場面でスカーレットが言ったとは思えません。 スカーレットは「私にはタラ(故郷)があるわ!」と明るく前向きに明日を迎えようとしています。これには「今どんな苦境にあっても、明日になれば、物事はいい方向に転じるものである」という意味が込められています。彼とはクラーク・ゲーブル演じるレット・バトラーのことです。こうした状況で「明日という日があるわ」"Tomorrow is another day"と言ったのです。こうしたことから最近では見直されて、この言葉は「明日という日があるわ」との訳が増えてきました。

映画「風とともに去りぬ」(Gone with the wind)

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では「明日は明日の風が吹く」はどこから来たのでしょうか?日本の古いことわざの類にはこの言葉はありません。比較的新しい言葉のようです。調べてゆくと、どうも落語からの言葉のようです。

もともとは「河竹黙阿弥」という幕末から明治の歌舞伎狂言作者が、作の中でもう少し古めかしい言葉で言っていたようですが、これが落語に取り入れられ、かつ昭和の初めに近代落語になり、今風の言い回しで、「明日は明日の風が吹く」と使われて、これが流行言葉になりました。第二次大戦のすぐ前に映画「風とともに去りぬ」は米国で完成しましたが、日本では戦後に公開されました。そしてTomorrow is another dayは"Gone with the wind"の「風」の印象から、当時の流行言葉を受けて、「明日は明日の風が吹く」が日本語訳のようになってきたようです。元来、日本の古いことわざには「明日は明日の風が吹く」のような、なげやりなものはほとんどありませんでした。例えば、「明日の百より今日の五十」 (A bird in the hand is worth two in the bush)など類似のものはありますが、こんなに楽天的ではありません。このことからも、これはことわざというよりは、流行言葉といえるでしょう。このような言葉も、時が経つと次第に定着して、ことわざとも呼ばれるようになります。

「明日は明日の風が吹く」は河竹黙阿弥から

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さて今日と明日について考えてきましたが、今日、明日の英語の"Today", "Tomorrow"には何か共通していると思いませんか?そう!"To"が付いています。"Tonight"もそうですね。それはもともと、"today"は"to day"(昼に、この日に)であり、"tonight"は"to night"(夜に)で、"tomorrow"は"to morrow"(朝に)という副詞的な意味でした。"morrow"は"morning"の意味の古い英語でした。ではどうして"to day"が「今日」の意味を持つようになったのでしょうか?最初は離れて"to day"だったのが頻繁に使われるようになると"to-day"とハイフォンが付き、さらに使われだすとハイフォンは外れて一語の"today"になりました。昔の人たちは主に活動した昼間や日中といえば「今日」全体を意味していたので、"to day"が次第に「この日に、今日に」になり、一単語になって「今日」という意味になってきたのです。

"tonight"や"tomorrow"も同様に次第に簡略化と一語化が進み、その意味が「今夜」、「翌日」になりました。"tomorrow"だけに"day"がないのは"to morrow"で、「朝に向かって」が「翌朝」になり、さらに「翌日」全体を意味するようになったのです。ドイツ語の朝を意味する"morgen"に"to"を付けたとの説もあります。ちなみに「昨日」の"yesterday"は、古い英語で"yester"が「すぐ前の」を意味していたことから、「すぐ前の日」で「昨日」になりました。辞書を見ると文語ですが、"yestermorning"(昨朝)、"yesternight"(昨晩)、"yesteryear"(昨年)などの単語があり"yester"との関連がわかります。

昨日、今日、明日と、結局生きて行く上ではつながっているのですね。「今だけ懸命に生きる、今日だけ必死にする」に類する言葉もありますが、刹那的で、追い詰められた感じがあります。本当にそうした境遇になることもありますが、毎日生きてゆく上での好きな言葉となると、過去から現在、未来へのつながりが必要で、その意味でTomorrow is another dayが好きな言葉になったのです。

最近聞いて知った「昨日今日明日」に関するいい言葉があります。

Yesterday was history. Tomorrow is a future. Todyay is a present. And Today is a gift from god.

調べてみると同様な英語のことわざがあり、これに近いですね。

Yesterday is history. Tomorrow is a mystery.Today is a gift...that's why it is called the present.

「昨日は歴史。明日は神秘。今日は(from god/神からの)贈物。だから今日のことをプレゼント(現在 / 贈り物)と言うのです。

なにかオチがあっておもしろいことわざですね。

"Time flies" 「光陰矢の如し」と言われます。「昨日今日明日」と思っているうちに、いつの間にか月日はあっという間に過ぎてゆくのです。そういえばかって、イタリアの有名俳優である、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの軽妙なコメディ映画「昨日今日明日」がありました。このような感じの映画が最近は少なく少し寂しいですね。要するに普通に生きている毎日が大切で、それぞれに価値があるということです。ここまで来てちょっと考えました。私の"tomorrow"は"another day"になるか?、それとも"mystery"で明日を楽しみに待とうか。 うーん。。。。!?

映画「昨日今日明日」

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「風とともに去りぬ」のラストシーンでスカーレット・オハラが叫ぶ名言"Tomorrow is another day"(動画)。下記のURLでご覧ください。

http://youtu.be/NRIknrEwkVw

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
風と共に去りぬを読んだり、映画を見たとき、Tomorrow is another dayは、当時名訳だなと感心していましたが、Jackさんの説明を読んで、なるほどと考えさせられる点もありますね。あのシチュエイションを知らないで、この訳だけだと凄く楽天的に思われますが、最後のシーンを見ながらこのせりふを聞くと、タイトルの風と共に去りの風を連想させながら、前向きに後ろを振り向くことなく、未来への勇気ある決意を述べているように思えましたが。日本語に訳すと言うのは本当に難しいですね。懐かしく青春時代を振り返ってしまいました。
Anne
2011/10/21 15:37
Anneさん
たしかに映画の訳が本当にその映画での状況、雰囲気で翻訳されているか,むつかしいところがあります。瞬間的に見聞きするので観客となってその場でいい訳かの判断は困難なので、こうした名言だけでも再検討すると面白いですね。

古き良き時代が風とともに去ってゆくことがこの映画のテーマでもあります。昔はこうした3時間を超える大作があり、前奏曲が入り、中間で休憩があるという映画はこのごろはなくなってしまったので何か寂しさを感じます。
Jack
Jack
2011/10/24 16:34
中学生の頃
英語のリスニングの時間で風とともに去りぬ
をみました。

その、直訳とあまりにちがう和訳だったので、話し合いが起こったのを思い出しました。
セリフをひとめみて理解できる文字数であることが字幕には必要なことなども押してえもらいました。

日本人に馴染みのある和訳でないと共感も得にくい事も学びました。

字幕やさんは翻訳家さんとは少し違うのかと思います。
みく
2013/12/09 13:07
みくさん

映画の字幕の和訳は、素人が単純に英語を見て和訳するのとは違う観点があると思います。同様に英語の小説の和訳も、そのとうり直訳するとなんともおかしな、ぎこちないものになるでしょう。その逆の、日本語から英語への訳も日本語直訳では英語圏の人にとっては変だな?と思われるところもあるでしょう。

要するに、言葉そのものだけでなく、その背景や、事情もわからないとすんなりとした訳にはならないと思います。
Jack
2013/12/09 16:27
はじめまして
ある洋書を読んでいて"Tomorrow is another day"を「明日は明日の風が吹く」と解釈したものの、前後関係からするとなんとなくしっくりこないなと思って検索したらこちらのブログを見つけ、納得しました。いわゆる「定訳」になってしまった訳語があると、思考停止に陥りがちですが、Jackさんの解説はたいへん参考になりました。ありがとうございます!
Suzie
2014/03/04 12:40
Suzieさん
この記事が参考になって幸いです。世の中にはおかしいなと思われる英訳があり、それがハマっていればいいのですが、このTomorrow....のように、どこか物語の内容としっくりこないものがあります。映画にはとくにあります。翻訳家ではないので大きなことは言えませんが、余りにもかけはなれた言葉にするのは、それを見る人に誤解を生みます。おかしいなと思ったらあなたのように少し調べてみるのも良いですね。
Jack
2014/03/04 18:37

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