"Knock on wood":幸運が続きますように!「ノルウェーの森」のWoodは材木だって?

最近では迷信は次第にすたれているように思われますが、私達の生活や言葉にはまだ根強く残っています。映画「カサブランカ」でピアノ弾きのサムがトントンと叩きながら"Knock on wood"と歌う場面があります。主人公のハンフリー・ボガートの店内の歌のシーンで出てくるもので、このフレーズにあわせて、お客がテーブルなどをたたいていた。おかしな歌だなと思っていたが、調べてみると、"Knock on wood"は慣用句(Idiom)になっており「幸運が続きますように」の意味が有りました。この言葉はどういう時に使うかというと、「いいこと続きで」とか「くじが当たった」なのどの幸運なことを人に自慢したあとに、木に対してコンコンと打ち「幸運が続きますように」とするおまじないのようなものです。

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これには良いことを話したとたんに災難が起こってくることを避けるという、おまじない的な意味合いがあるようです。いいことの反動で悪いことが起こらないように、木に宿る精霊にお願いするためにコンコンとノックするというわけです。昔からあまり自慢すると復讐の女神「ネメシス」のたたりがあると言われて、この風習と言葉がいつの間にか英語にも入ってしまいしました。もとはハシバミやオーク、サンザシなどの神聖な木と言われるものに触る習わしでしたが、現在ではそういった木が都合よくは近くにないので、その辺にあるテーブルなどの木で代用するようになったのです。イギリスでは"Touch wood"と言うそうです。木をコンコンせずに、言葉で"Knock on wood"と付け加えることもあります。また"Knock wood"とonを入れないこともあります。

用例としては例えば;"You had better knock on wood." 自慢した相手に対して「木に触ったほうがいいよ!」というような使い方をします。また何かいいことが起こっ後でおまじないに"I passed the university entrance examination! Knock on wood!."「僕は大学入試に受かったんだよ!この幸運が続きますように!」などの使い方をします。辞書では下記のように出ています。

Say in order to avoid bad luck, either when you mention good luck that you have had in the past or when you mention hopes you have for the future."(リーダーズ英和辞典より)

このおまじない、私もどこか英語の場面で試してみたいな!と思っているのですが、ここのところ自慢できるようないいことが一向に起きないので,まだ残念ながら使っていません。

ところで良いことが起こったあとにいう言葉の関連で、日本では悪いこと、嫌なことが起こらないようにという言葉で「くわばら くわばら」があります。「くわばら くわばら」 とは、雷が桑原のところには落ちないという言い伝えから、落雷などを避けるために唱える、おまじないの言葉です。じつは京都にはこの言葉の由来となった桑原町という町名が今も存在しています。菅原道真が無実の罪で大宰府に左遷され不遇のうちに亡くなったことは良く知られていますね。その翌年から京の都には次々に災厄が発生し、人々を恐怖に陥れたのが御所をはじめとして、いたるところに落ちた雷でした。道真のたたりと人々は恐れました。しかし不思議なことに一度も雷が落ちないところがありました。それは道真の領地で、彼のあとを継承する桑原家の屋敷があったところが現在の桑原町です。「ここは道真様の領地だから雷を落とさないで!」という意味合いでくわばら くわばらと唱えたことが次第に定着してきたそうです。「くわばら くわばら」については他にも諸説があります。

さて今回は"Wood"に関連したことですが、英語では"Tree, wood, Forest"と「木」に関する単語があります。「木」に対する"tree"と"wood"はその状態の違いですtreeは「樹木」「立ち木」、woodは「木材」です。treeを加工したものがwoodです。
建築などに使用するように製材した「材木」はlumber/timberと呼びます。

"Woods"とsを付けて複数にすると、森でも小さなところ、つまり林を指します。 辞書を引くと森と出ていますが、大きな森林とは違います。 これは感じであって、森の深さ、大きさはどれだけと数字で表現するものではありません。木がこんもりとあるくらいのものが"woods"で林もしくは小さな森です。大きな森はForestになり森林地帯のような大きさです。Forestには得体の知れぬ怖さがあり、中世ヨーロッパでは暗黒の世界のように恐れていました。だから子供が怖いものに遭遇した時など、"I have forest"との表現もあります。"Forest"は"Foreign"(外の、外国の)にも通ずる未知のものでした。

広大な森(Forest)

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ところで木と森に関する日本語のことわざに「木を見て森を見ず」があります。小さなことにとらわれて全体像が理解できないことを言います。英語ではいろいろな表現があります。"One cannot see the woods for the trees"とか"To see a tree but woods"です。木と森の違いをうまく捉えています。この"Wood"の表現違いに関して面白い話があります。

それは村上春樹氏の小説「ノルウェイの森」のタイトルの「森」とはなんぞやということです。原題が「Norwegian Wood」で、同名のビートルズの曲からつけられました。この時ビートルズの「Wood」を「森」と訳したのは誤訳ではないかという論争があります。「woodを「森」の意味で使う場合は「woods」と複数形になり、単数の「wood」は木や薪を意味するという論争です。

現在多く通っている説は"Norwegian wood"というのは、「ノルウェイの材木」もしくは「家具」ということです。歌詞の内容から、Woodは、「木材」という意味の名詞で、「ノルウェー産の木材」という意味です。 歌詞の出てくる彼女の部屋の内装がノルウェイ製、北欧家具だということなんです。この歌詞は、引っ掛けた女に適当にあしらわれて、ふられてしましまい、やけくそになり最後に火をつけるとなんとも怖い内容です。

村上春樹「ノルウェーの森」

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今回はWood(林、森)について考えてみました。日本人はこれほど木の状態により言葉を変えていないようです。それはやはりヨーロッパの暗くて、大きな森が普段の生活している近くににはないこともあるでしょう。また森に対しての恐怖感がヨーロッパ人ほどないせいもあると思われます。こんなところにも言語表現の違いが微妙に出てくるものですね。

私がKnock on woodと言えるような日が何時来るのでしょうか?それまではこの言葉を覚えておかないと!?

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