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zoom RSS 「唐獅子牡丹」と「獅子身中の虫」とは何のこと?/「竹に虎」の図柄とは?-日本にいない動物の図柄とは?

<<   作成日時 : 2015/07/07 19:34   >>

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少し前に有名な俳優の高倉健さんが亡くなりました。健さんの主演の映画の主題歌、「唐獅子牡丹」が、このところカラオケではよく歌われているそうです。この「唐獅子牡丹」は古来より襖絵、陶器、刺青などの絵柄によく使われています。また「獅子」ではないですが、「虎」も昔からの絵によく出てきます。ことわざに「竹に虎」というのがあり、そのくらい昔から知られているということです。日本には、昔からいなかった動物がなぜこんなに図柄などに使われるようになったのでしょうか?今回は「牡丹と唐獅子」と「竹に虎」について書いてみました。


●「唐獅子牡丹」と「獅子身中の虫」とは?

牡丹の花が5月の連休前後に咲く頃、私はいつも見に行っている牡丹園があります。ついでにシャクナゲ、藤なども咲いていたら見てきます。牡丹にはいろいろな種類があり、見事な大輪や珍しい柄の花もあります。牡丹の原産地は中国で、薬用に栽培されていたらしい。中国の宮殿ではこの花は大切にされ、牡丹といえば楊貴妃と言われるくらいはなやかさがあります。牡丹の花は「花の王」とも言われます。中国では清王朝以降、しばらくは中国の国花でもありました。日本には奈良時代に薬用植物として入ってきて、その後、観賞用として珍重されました。「枕草子」にも出てきます。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花とも言われるほど美しく、皆に親しまれてきた花です。

百花の王といわれる牡丹

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牡丹と楊貴妃

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さて、この唐獅子とはそもそも何でしょうか?またどうして獅子に牡丹が結びつくのでしょうか?これには面白いいわれがあります。

もともとはエジプトのライオンが、アジアに伝わっていくうちに次第に変化したものらしい。 インドから中国へと伝わる過程で、想像上の霊獣としての「唐獅子」へと変化してゆきます。頭のまわりや首、尾には、炎の様な渦を巻く毛が体を覆っており、胴体や四肢にも模様のあるライオンとは違う動物になっています。この唐獅子が、仏教の伝来と共に日本へも伝えられました。シシとはもともとイノシシや鹿(しし)のことでしたが、区別するため「獅子」として、さらに日本に伝わった時に中国を表す「唐」を付けて、唐の獅子すなわち、「唐獅子」と呼ぶようになりました。

唐獅子は「百獣の王」と呼ばれます。獅子には恐れるものは何もない様ですが、 一つだけ獅子が恐れているものがあります。それは唐獅子の体毛の中に住みつき、増殖して、 いつしか皮膚を突き破って肉まで食べてしまう害虫です。 しかし、この害虫の弱点は、牡丹の花からしたたり落ちる夜露にあたると、死んでしまうことです。それで唐獅子は夜になると牡丹の花の下で休むのです。 牡丹については、獅子がこれを食べるとも言われます。よって、多くの毒虫たちは、この牡丹には近づかないとも言われます。これにより、こんなに強い唐獅子にとっても、心休まる安住の地は牡丹の花の下ということです。こうしたことで、「百獣の王」である「唐獅子」と「百花の王」である「牡丹」が 絵、陶器などでは、組合せの良い図柄として好まれ、古くから親しまれてきました。

獅子の頭には強い霊力があり、悪い気を食べてくれると言われています。それで、獅子舞で人の頭を「パクパク」と動かしている動作も、人の悪を食べている仕草といわれます。獅子の巻き毛は「獅子毛」と呼ばれ、この巻き毛にも霊力があるのだそうです。

また、ことわざに「獅子身中の虫」があります。身内や自身の中に、思わぬ悪いものが潜んでいたり、裏切り行為のことを表します。これは獅子の身体に寄生する虫により、獅子の命をも脅かされることからきた言葉です。どんなに大きく強いものでも、内部の裏切りや悪いことから身を滅ぼすことにもなりかねないということです。この言葉は仏典から出たようです。仏徒でありながら仏教に害をなすことのたとえでもあり、「恩を受けた者に仇(あだ)で返す」ことです。また獅子は、文殊菩薩(知恵を司る仏さま)の乗る動物ともされています。

「文殊菩薩」は百獣の王の獅子を制して、またがります。

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美術的には、獅子は屏風や襖絵などに唐獅子は多く描かれています。狩野永徳が描いた有名な「唐獅子図屏風」があります。また鎌倉時代には、「獅子に牡丹」の図柄は、甲冑、馬具、弦などに使われましたです。勇猛な印象の獅子と、華やかな牡丹は甲冑を彩るのに適した柄で、武将達に好まれました。

狩野永徳 唐獅子図屏風

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「唐獅子牡丹図」(東本願寺)

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彫刻としては、京都、南禅寺の中の、庭園を望む広縁ひろえんの上方に、江戸時代初期の左甚五郎作の両面透彫のすかしぼりの欄間に彫った唐獅子があります。ここには「牡丹に唐獅子」、「竹に虎」の図柄が透かし彫りで彫ってあります。この図柄の意味は「あなたの依所(よりどころ)は、何んですか。 あなたが安心して身を寄せられる安住の地は、どこに在りますか。」と言われます。いずれも、「どんなに強いものでも、どこかに安住の地を求めている」ということです。「竹に虎」については後述します。

京都、南禅寺の透かし彫り:表と裏に「牡丹に唐獅子」、「竹に虎」が彫ってある。

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さて、牡丹について書いてきましたが、牡丹そのものはボタン科の落葉低木で、当初中国から薬用植物として日本に伝わりました。百花の王といわれ、牡丹の花言葉は「富貴」「風格」です。ヨーロッパでは牡丹の花言葉は「思いやり」「恥じらい」と言われ、随分場所により、見る人たちにより違うものですね。

各種牡丹の案内
http://www.nippon-botan.jp/guide/

●ことわざの「竹に虎」の図柄はどうしてできたのか?

アジア大陸の広い地域にいるも、今では絶滅が心配されています。この強そうな虎は、実は象には勝てません。虎は群をなしている象には、かないません。が像を見て逃げこむところが竹薮の中なのです。象の巨体は竹薮に入りにくく、また、無理をして竹薮に入ると、竹で象牙にヒビが入ると言われています。昔の人はこれを知っていて、象牙を竹薮へは持って入らなかったとのことです。青竹に象牙はダメな組み合わせで、よって、虎には竹薮が何よりの安住の地でありました。

「竹に虎」の絵

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鎧(よろい)に描かれた「竹に虎」

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●「牡丹に唐獅子」、「竹に虎」の関連の話

上述のような話から、「牡丹に唐獅子」、「竹に虎」と人々によく言われるようになり、この図柄は古くから、ふすまの絵、魔除けの札柄、刺青、着物や陶器の模様によく使われてきました。ここでちょっと関連の話を入れておきます。

このような取り合わせが良いものとして定着しているものが他にもあります。例えば:

・竹に雀、波に千鳥、牡丹に蝶、松に鶴、紅葉に鹿

などです。雀は、昔話でも害虫を食べてくれたり恩返しをしたりと、竹との印象で日本人に良い方向で受け止められてきました。他のものもそれぞれ理由はあるようです。

また、虎は日本にはいないのに多くの熟語があります。これらは中国の影響かと思われます。
・「虎視眈々」、「虎の威をかる狐」、「前門の虎」、「後門の狼」、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」

虎は日本にはいなかったのですが、隣の朝鮮半島にはいたようで、有名な加藤清正の虎退治の話があります。出兵した日本軍の陣地に虎が出没して被害にあったので、虎を退治しながら進軍下らしい。また虎の肉は強精剤として効果絶大で、秀吉にその肉を塩漬けにして秀吉に送り届けたとのことです。

加藤清正の虎退治の絵

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以上の「牡丹に唐獅子」、「竹に虎」については絵柄だけでなく、幕末から明治のかけて歌われた江戸しりとり唄にもでてきます。しりとりにおいて、「あ」とか「い」とか一文字だけでなく、意味ある言葉で次々とつないでゆきます。子守唄やおもちゃ絵、すごろくなどにも使われていたようです。内容にはそれぞれ何かの意味があるといわれます。下記がそのしりとり歌です。

牡丹に唐獅子 竹に虎  虎をふんまえ和藤内
内藤さまはさがり藤   富士見西行うしろ向き   
むきみ蛤ばかはしら、柱は二階に縁の下、
下谷上野の山かつら、桂文治は噺家で、
でんでん太鼓に笙の笛、えんまはお盆とお正月


以下延々と続きます。

これら文言にはそれぞれ意味があります。例えば、「虎をふんまえ和藤内」は虎と 人形浄瑠璃「国性爺合戦」の主人公の和藤内の格闘の話です。「内藤さまはさがり藤」は内藤家はさがり藤の家紋のことです。「柱は二階に縁の下」は歌舞伎の仮名手本忠臣蔵で2階と縁の下が出てくるある場面のことです。

しりとり唄の詳細はこちらのページを参照下さい。
http://www.yakiniku-yaoki.com/kokoro/poem/tawamuremadeni020902.htm

まだ、獅子と虎の関連話はありますが、またの機会にします。日本にいない動物が、こんなにいろいろなところで使われていて、私たちは、あまり気にしなくそれらを見ています。しかし、それぞれに意味があり、両方とも、安住の地はどこですか?が共通の意味合いです。また違ったものによる、バランスの良い取り合わせは、図柄には良かったのでしょう。強いばかりでなく、どこか弱みがあり、どこかに安住の場所がないかな(幸せはどこにあるのだろう),
と求めているのは私たちにも似ていませんか?

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日本画や、お寺での襖絵、お皿の図柄などで、今までなんとなく、牡丹に唐獅子、竹に虎を見てきました。以前は、日本にいない獅子や虎がなんでこうもよく出てくるのだろうと思っていました。これには意味と取り合わせのよさがあり、日本人の心を掴んで自然と取り入れられてきたのでしょうね。これから日本画、襖絵でこの図柄を見たらこの話を思い出すことにします。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Jackさん、びっくりしました、何気なく見ていた唐獅子と牡丹、竹と虎の絵画の中の組み合わせにこんな理由、いわれがあったとか。強そうに見える唐獅子にも弱点があったんですね、それに強そうな虎も、竹藪が安住の地ととか。この組み合わせ調和がとれていて美しいと眺めていましたが、理由を知り驚いています。今度この種の絵画を見るのが楽しくなりました。
Anne
2015/07/09 16:21
Anneさん
私たちは何気なく見聞きしているものには、実はそれなりの意味が隠されているものが多いですね。Anneさんも美術展などでこうした図柄を見たら思い出下見てください。
世の中には大きい、強そうでいて、実は内心ビクビクしているものが結構ありそうです。いずれもなんとか安住のところ、落ち着き先を求めています。話は違いますが、中国、韓国、ロシアなどの指導者がこれに似ていて、常に国内世論にビクビクしています。その点阿部さんはどこ吹く風ですね。
Jack
2015/07/10 18:59

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