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zoom RSS 「マイフェアレディ」にはロンドン方言コックニーとマザーグース「ロンドン橋」が絡んでいる

<<   作成日時 : 2014/02/28 16:56   >>

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マイフェアレディ(My Fair Lady)という映画がかってありました。方言がひどいロンドンの下町の花売り娘を、立派なレディに仕立て上げる物語です。この中のコックニー(cockney)という英語の方言は今、意外なところで流行っています。今回はマイフェアレディとコックニーについての話です。

★映画マイフェアレディMy Fair Ladyとは★

ロンドンの下町に住むイライザ( Eliza Doolittle/オードリー・ヘップバーン)はコベントガーデンで花売りをしている貧しい娘でした。寒い三月のある夜、ヒギンス教授(Henry Higgins/レックス・ハリソン)に言葉の訛りを指摘されてから、大きく人生が変ることになったのです。彼女にはロンドンの下層階級の言葉であるひどい「コックニー訛/cockney」がありました。そして、博士の家に住み込み、訛りの修正とレディへの教育が始まりました。それは彼女にとって、今までにない苦しい訓練でした。それから4カ月、イライザは美しい貴婦人として社交界へデビューしました。

映画"My fair lady"

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原作者のバーナードショー

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イライザが花を売っていたロンドン、コベントガーデン付近

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このミュージカル映画の主演はオードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)で、共演のヒギンズ教授はレックス・ハリソン(Rex Harrison)でした。この映画はアカデミー賞8部門を受賞しました(作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞、美術監督賞、音響賞、編曲賞、衣装デザイン賞)。原作者のGeorge Bernard Shawはアイルランド・ダブリン生まれで、1924年にノーベル文学賞を受けています。

原作の題名である「Pygmalion/ピグマリオン」は、ギリシャ神話に出てくる彫刻の得意なキプロス島の王の名であり、自作の彫像ガラテア(Galatea)に恋してしまい、女神ヴィーナスに願って、ガラテアに生命を与えてもらい、そして妻にしました。このことが、「自分で作り上げたモノに恋をした」という観点から、洗練された英語を教え、立派なレディに仕立て上げたヒギンズ教授のイメージとかけて、原作ではPygmalion/ピグマリオンの題名になったのです。

マイフェアレディの原作:Pygmalion/ピグマリオン

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★マイフェアレディ(My Fair Lady)の題名になったのは、ロンドン方言コックニー(cockney)と、マザーグース(Mother Goose)のロンドン橋(London Bridge)がからんでいます★

◆コックニー/cockneyとは何?

原則的には、ロンドンの東側、イーストエンド/East Endと呼ばれるところにある、メリー・ボウ教会(St.Mary-le-Bau)の鐘の音が聞こえる範囲で生まれ育った人が使う訛りが、コックニー/cockneyと定義されています。一種の下町言葉ですね。実は、「cockney」には「East End」の人の訛りだけではなく、それを使う人たち自身も指しています。「cockney」という人達はいわゆる労働者階級であり、東ロンドン「East End」で働いている人たちのことも言っています。

cockneyの語源としては、14世紀頃に雄鶏(=cock/コック)が生んだような形の悪い卵を指していて、さらに16世紀になると、都会育ちで、地についた本当の生活を知らないような子供たちを指したことから、ちょっと変わった言葉のことも指すようになったようです。

そのなまりの発音上の特徴は、[ei]と[ai]の区別がつかないこと、"h"の音を落とすことなどがあります。例えば"h"では、「have」は「ave」になります。「here」は「ere」になります。[ei]と[ai]の例では、「二重母音」が上手く発音できず、「ei」と発音のところは「ai」となってしまう特徴があります。「rain」を正しく「レイン」と発音出来ず、「ライン」と発音してしまうのです。コックニーではABC(エー・ビー・シー)は「アイ・ビー・シー」、make(メイク)はマイクとなり、take(テイク)はタイク、station(ステイション)はスタイションtoday(トゥデー)がトゥダーイになります。ちょっと違う系統の訛りでは、letter(レター:手紙)はレッ アーmatterマッ アーlittleリッ オーと発音します。その他にも種々の形のなまりがあります。イギリスの下層階級が主に移住したオーストラリアの英語もコックニー系です。

ロンドン、イーストエンド(East end)界隈


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◆マイフェアレディ(My fair lady)の題名はどうしてついたのか?

「マイフェアレディ」(My fair lady)との題名がついたいきさつには二つの説があります。

■マザーグース「ロンドン橋(London Bridge)」からのイメージでマイフェアレディ(My Fair Lady)になった。

「マザー・グース」 (Mother Goose)は、おとぎ話と童謡(ナーサリー・ライムズ :Nursery Rhymes) を主としたイギリスの伝承的な話や童謡の総称を言っています。マザー・グースには、約1,000以上の童謡があります。

ミュージカルの「マイ・フェア・レディ/My Fair Lady」というタイトルは、このマザーグースの歌である「ロンドン橋/London Bridge」のイメージが元になって名付けられたと言われています。この物語は、ロンドン橋が粘土と木の橋から次第に金銀まで変わる話にミュージカルのMy fair ladyのイメージに似ています。またロンドン橋には、節の区切りに必ずMy fair ladyが出てきて、この言葉も題名の由来の元となっています。

ロンドン橋/London Bridge(3節目まで表示。まだ続く)

London Bridge is broken down,
Broken down, broken down.
London Bridge is broken down
,
My fair lady.

Build it up with wood and clay,
Wood and clay, wood and clay,
Build it up with wood and clay,

My fair lady.

Wood and clay will wash away,
Wash away, wash away,
Wood and clay will wash away,

My fair lady.

*注:米国ではbroken downはfalling downが多い。

このmy fair ladyとは、高貴な女性を指しているようで、このへんのことは、別の記事に詳しく書いていますので参照ください。

イギリスのマザー・グースの歌「ロンドン橋」の謎:この橋はどうしてそんなに落ちたのでしょうか?
http://jack8.at.webry.info/201208/article_1.html

現在のロンドン橋

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■コックニー訛りの発音からMy fair lady/マイフェアレディになった

別の説では、My Fair Lady(マイ・フェア・レディ)のタイトルは、Mayfair lady(メイフェア・レディ)と言うところを、ロンドンの下層階級の言葉のコックニー訛りで発音すると、メイフェアがマイフェアになるので(eiがaiに変化)、それをもじったものとの話があります。Mayfairは地名で、メイフェア(Mayfair)は、当時はロンドンの閑静な高級住宅地であり、今は高級店舗がならぶロンドンの中心街に近い地区の名前です。My fair ladyは私の「綺麗な人」という意味だけでなく、この映画の場合は、fairには「口先だけ、うわべだけ」の意味があり、それもかけているようです。

さてコックニー訛りを矯正するのに、ヒギンズ教授は有名な次のような文をイライザに訓練として教えました。

●"ei" の発音練習です。

The rain in Spain stays mainly in the plain.
「スペインの雨は主に広野に降る」。

広野と呼べるような広い平野などない、乾燥地帯であるスペインには、雨はあまり降らないと思いますが、あえて作った文です。

●"h" の発音練習です。

In Hartford, Hereford and Hampshire hurricanes hardly ever happen.
「ハートフォード、ヘレフォード、ハンプシャーではハリケーンはめったに起こらない」。

コックニーイライザが発音すると、In 'artford, 'ereford and 'ampshire 'urricanes 'ardly hever 'appen.となってしまいました。Hartfordなどは地名で、ハートフォードはロンドンの北、ヘレフォードはロンドンの西、ハンプシャーはロンドンの南西、いずれもイングランドの州にあります。いずれもハリケーンなどて来そうにもありません。

そして何数週間にも渡るきびしい特訓の日々が続きました。 彼女の訛りはなかなか直りませんでした。逆にまわりの皆が疲れ果てきたある日の特訓の朝方にイライザは突然高らかに「スペインの雨」を正しい発音で歌い出しました。この映画の中ではとても感動的なシーンです。

★今ではコックニー/cockeyはモックニー/mockneyといわれ、イギリスのカッコイイ若者のことです★

今のロンドンでは、コックニー/cockneyが若者の間では単純に「カッコいい」というイメージがあるようで、East endに住んでいない若者までが、East endコックニーを真似るようになりました。特に学生にはコックニーを真似ようとするものが多いようです。このような現象を「mockney/モックニー」と呼んでいます。「mockney」は「mock ―偽者」と 「cockey」を合成した言葉です。

コックニーには、押韻スラング"Cockney Rhyming Slang"と呼ばれている、隠語めいた言い回しが昔からあります。この言い回しはもともと、他の人たちにはわからないように、下町の特定の人だけがわかるように、わざと作られてきた言葉です。しかし現在ではコックニーだけでなく、イギリスで広く日常会話の中で、俗に使われている表現の言葉になっています。コックニーの英語表現には押韻俗語が多く見られます。言ってみれば、言葉のゴロ合わせみたいなものです。日本の若者が使う仲間内の言葉に相当しますが、日本のは短縮系で単純なものが多いのに比べて、Cockney Rhyming Slangは韻をふんで、より複雑です。

かって、野菜や果物売りが、ちょっとヤバイかなという商売をするとき、暗号的にコックニー・スラングを使っていました。Apple&pears(リンゴと梨)はStairs(階段)といい、これはペアーズとステアーズの押韻を踏んでいます。sugar&honey(砂糖とはちみつ)は money(お金)となり、ハニーとマニーの押韻です。現在、次々と新しいライミング・フレーズがcockney rhyming slangで生み出されているようです。有名人をダシに使っていることが多く、Kate Moss(ケイト・モス)という人の名前はToss(投げる)になり、Blitney Spears(ブリトニー・スピアーズ)はBeer(ビール)になるとか?これがどうしてこうなるのか、もう一つわかりません。こんなわけで、コックニーライミング・スラングは私たちにとってはクイズのようです。

Cockney's Rhyming Slangのリスト

http://www.rondely.com/zakkaya/irir/cokny.htm

ところで、イギリスの標準語は、日本語では容認発音(ようにんはつおん)といいます。英語ではReceived Pronunciation, 略:RPであり、イギリス英語の伝統的な標準発音と言われています。一般的には、イングランド南部の教養のある上層階級の発音であり、公共放送局のBBCのアナウンサーの発音(BBC English)や、王族の発音とされ、外国人がイギリス英語を学習するのはこの発音です。またクイーンズ・イングリッシュ(Queen's English)とも呼ばれます。しかし1960年代以降になると、イギリス各地で使用されている地域独自の英語発音の勢力が強まり、BBCでもRP以外の発音がしだいに普通になってきています。現在、RP英語を話す人の割合は、イギリス人口の約2%程度であるとも言われるようになりました。

BBC Radioが聞けます。
http://www.bbc.co.uk/worldserviceradio/collections/p012029w

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マイフェアレディはとても面白い忘れられない映画でした。その中でロンドン訛りのコックニーが重要な要素となっています。この下町なまりの言葉のコックニーが今や流行りの言葉になっているとは、時代も変わるものですね。イギリスの標準語も変化しているようですが、日本語も同様に変化していますね。

この映画のDVDが家にあり、また見たくなってきました。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ピグマリオンがマイフェア・レディの原作と聞き驚いています。画家ジャン=マリオン・ジェロームがこの神話を元に絵を描いています、ニューヨークのメトロポリタンの美術館で見たことがあります、それに中野京子さんの本の表紙にも使用されています。もう一度マイフェア・レディを見たくなりました。オーストラリアに行ったとき簡単なのに聞き取れない英語がありましたが、コックニー系の英語だったんですね、彼らが多く移り住んでいたとは知りませんでした。楽しいお話でした!
Anne
2014/03/01 22:21
Anneさん
ピグマリオンのイメージと、マイフェレディの物語の内容は確かに似ているところがあります。絵描きはこんな神話をイメージだけで、よくうまく描けるものだといつも感心します。私は目の前にあるモチーフや風景はなんとか絵としてかけますが、神話、伝説からは描くのはとても難しい。

会話を主とする英語は順次変わっていて、国が違うと、とんでもない現地での英語に戸惑いますね。私はかってインド英語に大分悩まされました。日本人のように、英語がうまく通じるかしら?なんて、彼らは思わず、ドンドンなまりの多い英語で平気でまくし立てるのには閉口しました。

イギリスのTV番組には、コックニーのスラングを当てるクイズ番組まであるには驚きました。
Jack
2014/03/03 16:57
質問なのですが、マイフェアレディのタイトルの由来の説はどこからお知りになりましたか?論文で使いたくて、確かな情報源を知りたくてコメントさせていただきました。
Charlie
2016/01/25 17:32
Charlieさん

このブログは現在、停止中です。下記をご覧下さい。

ブログの記事とコメントの停止:
http://jack8.at.webry.info/201601/article_1.html

なお、元々、記事の根拠公開、内容論争はここではしていません。他に問い合わせ下さい。
Jack
2016/01/25 19:19
「以前に」という意味の「嘗て」は、カツテとカナ標記します。カッテではないので。老婆心まで。
しろはと
2016/06/28 18:18

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