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zoom RSS 私の周りの食べ物のよもやま話:アメリカン・コーヒーは何故薄い?

<<   作成日時 : 2012/10/08 22:37   >>

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私が日々食べたり、飲んだりしている飲食物には面白い隠しネタとも言える物語が潜んでいます。今回は私が普段から接触している食べ物の面白話です。

私は朝、たいていパンと共に薄いアメリカン・コーヒーを飲みます。そしてオヤツにはしばしば大好きなピーナツを食べます。またホンワカしたお菓子のカステラに目がありません。さて、これらの飲食物には話が潜んでいます。食べ物のよもやま話としてちょっと読んでみてください。

●アメリカン・コーヒーはなんで薄いのか?

私は良く喫茶店や家でコーヒーを飲みます。1日数回、いわゆるブラックで飲むので、たいていアメリカン・コーヒーを注文します。このアメリカン・コーヒーは普通のコーヒーより薄くできています。以前は普通のコーヒーをたくさんのお湯で薄めて作ったものと思っていたのですが、それがとんでもない間違いと気がつきました。

喫茶店のメニューに載っているコーヒーはたいてい、「ブレンド」か「アメリカン」と書かれています。だいたいが、濃いめの珈琲を「ブレンド」と呼び、これに対して濃度が薄めで、軽い珈琲を「アメリカン」と呼んでおり、それが一般的に通用しています。この「ブレンド」とは各種の豆をその店独特に混ぜてあるコーヒーですが、アメリカンという言い方については正しく無いと、皆さんは気がついていますか?

喫茶店のメニュー:たいていブレンド、アメリカンの種類のコーヒー名が書いてある。

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コーヒーの「アメリカン」の由来は「アメリカ人が一般的に飲んでいるコーヒー」のイメージから日本ではそう呼ばれています。確かにアメリカ人は薄めのコーヒーを大きいカップでガブガブ飲んでいるイメージがあります。しかし、アメリカ人は日本でのアメリカンコーヒーのようなものを「アメリカン」とは言いません。薄い、いわゆるアメリカンのことは「ウィーク・コーヒー(weak coffee)」であり、深煎りのコーヒーは、「エクストラ・ロウスティッド・コーヒー(extra roasted coffee)」、ただ濃いコーヒーは「ストロング コーヒー(strong coffee)」と言います。「ブラック コーヒー(black coffee)」 という言い方も変で、これはコーヒーの種類ではなく飲み方のことを指していますから、アメリカでは通じません。日本のお店によっては「レギュラー・コーヒー(Regular Coffee)」なんて言い方をしているところもありますが、では「regular」とはなんぞやということです。アメリカ国内で多いコーヒーをレギュラーと表示しても、ヨーロッパ人から見ると、レギュラーとは思わないでしょう。「レギュラー」は日本などその国の中だけの通念で通じる、いわゆるその店のスタンダード・コーヒーのことです。

さて話をアメリカン・コーヒーに戻しましょう。アメリカ人はどうしてあんなに薄いコーヒーを飲むようになったのでしょうか?これには歴史的な話が絡みます。18世紀後半、イギリスは植民地アメリカに重税をかけていて、アメリカ商人には大きな不満がありました。そしてボストンの商人たちがついに不満を爆発させて、輸入されてきたお茶の箱を海に投げ込んでしまったのです。これが世に言う1773年の「ボストン茶箱事件」です。このため、紅茶の輸入が途絶えてしまい、その代用品としてコーヒーを多く飲むようになったのです。それまでは紅茶が飲み物の主流でした。ボストン事件以来、飲みたかった紅茶に代わり、コーヒーを薄くして紅茶に似せたと言われます。さらに、アメリカ西部地域の水質はアルカリ質が強く、そのまま飲むと胃腸に良くないと言われ、コーヒー豆を浅くローストすることで水質に合ったコーヒーにして飲んだそうです。しかし東海岸側では、水質は西部ほどアルカリ性でないので、どちらかと言えば濃い目のコーヒーが好まれています。

アメリカン・コーヒーは薄くて多め。

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コーヒーの生豆は黄緑色であり、豆が煎られることによって次第に色が濃くなっていきます。色が濃くなるにつれて苦味も増します。煎りが浅ければ色も薄茶色で、苦味は弱く、酸味が強いものになります。いわゆるアメリカンコーヒーとは、一般的にシナモンローストと呼ばれる浅煎り豆でたてたコーヒーのことです。このコーヒーは浅煎りのためその色は薄く、苦味は弱く、また酸味は強い。苦味が弱いため飲みやすいのですが、カフェイン量はなんと多いのです。コーヒーの成分であるカフェインは、焙煎によって順に減りますが、浅煎り豆は焙煎が浅い為にカフェインが多く残ることになり、アメリカンは意外とカフェインが多いのです。こうしてアメリカではコーヒーが多く飲まれるようになりましたが、さらに19世紀以降になると、南米でコーヒーが盛んに栽培されるようになると、コーヒの飲用はさらに加速したのです。

西部劇では、荒野で野宿するカウボーイがパーコレータでコーヒーを作る場面がよく出てきます。

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●夏目漱石はピーナツの食いすぎで死んだ?

作家の夏目漱石は、壮年期を過ぎた頃から晩年にかけて、肺結核、トラホーム、神経衰弱、痔、糖尿病など、いろいろな病気にかかったが、直接の死の原因となったのは、胃潰瘍でした。これにはピーナツの食いすぎが絡んでいます。

夏目漱石は持病が胃潰瘍であるにもかかわらず、その病気に良くないアイスクリームなど甘いものやピーナツが大好きでした。有名な話ですが、1910年(明治43年)、修善寺で湯治中に、アイスクリームを食べて大量に吐血して一時、心臓が停止するま状態までいった「修善寺の大患」と呼ばれる仮死状態の話があります。この時の一時的な「死」を体験したことは、その後の作品に影響を与えることとなりました。さらにピーナッツも大好物で、これも胃潰瘍には消化によくないので、医師から固く食べるのを止められていました。いつもは妻の鏡子さんが注意して、漱石にこれらを食べさせないようにしていました。しかし仏文学者の辰野隆の結婚式に一人で出席したときに、つい出てきた大好物のピーナッツを空腹だったせいもあり、じゃんじゃん食べた上に、あまり飲めないお酒も結構飲んで、ついにその夜大出血をおこし、その後胃潰瘍が悪化して死去してしまいました。

漱石の死因になったと言われるピーナツ

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胃腸の悪いことは、既に漱石がロンドンに留学する頃にはあったそうです。そのころ漱石は神経性の消化不良症でした。漱石がロンドンに官費留学したのは、明治33年で33歳でした。ロンドン留学は二年間で、みすぼらしい部屋に住んでいました。「漱石日記」に、ロンドンへの船が出航してからすぐに「胃悪ク腹下リテ心地悪シ」と胃の不調を日記書いてあり、船の食事もすでにあわなかったようです。ロンドン留学中もなんだかんだと胃腸薬の世話になっていました。

漱石はロンドンでアパートを何度か変えた。ここは5番目で比較的良い。

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酒の飲めない漱石は、やはり甘いお菓子類に目がありませんでした。鏡子夫人にしばしばそれらをストップされた場面がありましたが、鏡子夫人が菓子類を隠してしまうと、漱石はそれを捜し出して、こっそり夫人が居ないときに食べたといわれます。

漱石が食事に関して尋常ならね関心を持っていたことは、小説にも出てきます。「坊つちやん」では、坊つちやんが天麩羅蕎麦を4杯も食べて、天麩羅先生とあだ名をつけられました。また、「三四郎」には精養軒がよく出てきます。漱石日記には、しばしば精養軒での会食の記録があって、このことからも、その頃の精養軒は文士たちの会合によく使われていとことが伺えます。

現在の上野精養軒

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かく言う私も漱石同様に、ピーナツが好きで、家にあるとつい多く食べてしまい、家族から「もうそこでやめたら!」とよく言われます。なるべくお酒とは一緒に食べないようにようにしていますが、飲み会でピーナツが酒の肴にあると、つい手をだしてしまいします。冗談ですが、もし私が死んだら、お墓にはピーナツを供えてくれるように日頃言ってあります。それで漱石の心がよくわかるのです。

●カステラはご飯のおかずだった。

カステラのほんのり甘くて柔らかな感じの食感は、私の好物の一つです。ところがこのカステラ、昔はそんなに甘くもなく、ご飯のオカズであった時代がありました。

カステラが、日本へもたらされたのは、16世紀の戦国時代にポルトガルの商人によって日本、特に長崎にもたらされました。カステラという名前の由来は、スペインのカスティーリャ王国(Castilla)のポルトガル語発音であるカステーラ(Castela)と言われています。また、カステラ製造過程で、メレンゲを作る際に、高く盛り上げる時に、「お城(casteloカステロ)のように高くなれ!」との意味から、カステロ=カステラ、となったという説もある。しかしポルトガルには「カステラ」という名の菓子は無く、その元となったとされるお菓子も、カステラとは製法が少し違います。当時、カステラは長期間の保存がきくため、何ヶ月も航海をする船乗りには便利な食べ物だったのでした。

現在の甘いお菓子のカステラ

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このカステラは、その当時お菓子ではなくおかずとしても食べられていました。その食べ方はとてもユニークで、大根おろしやわさびをつけたり、鍋に入れたり、水に浸して食べられていました。当時は甘い砂糖は貴重品でしたから、カステラにはあまり使われなかった。したがって、現代のカステラより甘くないから、大根おろしと相性が良かったらしい。現在、宮城県や沖縄県の名物に、「カステラかまぼこ」と言われる「焼きかまぼこ」がある。この品は、カステラがおかずとして食べられていた時代の名残りであるということです。江戸時代、自家製のカステラを売り出した菓子屋の広告には、「椎茸といっしょに煮しめて、おかずにしてください。おろし醤油やワサビ醤油でめしあがれば、お酒の肴になります。また夏は冷水、冬は熱湯をそそいで、ふわふわに柔らかくして食べても珍味です」などと、おかず的に食べられたことが書いてあります。

宮城のカステラ蒲鉾

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沖縄のカステラ蒲鉾

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やがて、長崎では甘い砂糖などを添加して、次第に現在の日本人の味覚に合うように味を変化させ、美味しい甘いお菓子のカステラになったのです。江戸時代は、砂糖の価格が高かったこともあり、カステラは高価なデザートでした。幕府は天皇からの使者を招いた際には、カステラを献上していたそうです。カステラもおかずからお菓子まで、過去色々と利用されていたんですね。

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身の回りにある食べ物、飲み物には歴史があり、名前の由来があり、その地方独特の発展があります。西部劇で、カウボーイが、荒野の野宿では、たいていコーヒーを沸かして飲んでいるシーンをよく見ていて、アメリカ人ってなんてコーヒーを飲むのだろうと思っていましたが、もっと昔は紅茶をよく飲んでいたのですね。もし「ボストン茶箱事件」がなかったら、今でもイギリスのように紅茶を主流に飲んでいる国だったかもと思うと、歴史のちょっとしたことで飲み物まで変わることがあるんだなー、と思いました。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
浅煎りのアメリカンコーヒーの方がカフェインが多いとは知りませんでした、それにもともと紅茶の方が多く飲まれていたとか、ボストン紅茶箱事件、を境にコーヒーから紅茶に変ったとは、初めて知りました。
あの知的作家の夏目漱石の死の原因、食事に関しての尋常ならぬ関心、作風からは考えられませんね。
カステラかまぼこ、先日TVで取り上げていました、小麦粉が高く不足しがちな時に、小麦粉の代わりに魚のすり身を使用したとか、ほんのり甘いけれど、おでんに向くそうです。食欲の秋にぴったりのトピックスでしたね、楽しかったです。
Anne
2012/10/10 09:36
Anneさん
みじかにある食べ物、なんとなく食べたり、飲んだりしていますが、それぞれ面白い話が潜んでいますね。Anneさんが好きな映画にも、世界中の種々の飲食物が画面に登場しています。それを知って見ていると、違う観点からその映画を評価したりします。カステラも時代考証が良く出来ている時代劇では、オカズ的に食べる場面が見られます。

ピーナツは昔から大好きなので、各地の美味しいピーナツを食べています。近頃は食べすぎには充分注意していますが、美味しいピーナツに出会うと我慢ができないこともあります。

この話題、まだありますので、そのうち続きをまた書く予定です。
Jack
2012/10/10 18:49

通りすがりですが、
いやー、おもしろいです。
ブログの中身。

アメリカンコーヒーについて
調べてたら偶然たどり着きました。
ぜひ他の記事もゆっくり拝見します!

マリ
2013/02/04 15:55

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