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zoom RSS グロッギー(Groggy)はイギリス水兵の酔っぱらいからー英語の裏話

<<   作成日時 : 2012/09/08 16:45   >>

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英語の言葉にはたいてい、何らかの由来や語源があり、調べてみると切りがないほど沢山あります。しかし単に、直接的に語源をたどるだけではあまり面白みがありません。その言葉にまつわる小噺(こばなし)や裏話のようなものがある英語の言葉には「なるほど!」、や「エーそうだったの!」と言った面白いものがあります。今回はそんな裏話のある英語の言葉を集めてみました。ストーリーを楽しんでください。

●グロッギー(Groggy)という言葉はイギリスの酔っ払いの水兵からだった。

「ヘトヘトでもうグロッギーになったちゃたよ!」などと言いますね。Groggy(グロッギー)という言葉、英語にしては少し変と思いませんか。この言葉はどこから来たのでしょうか?

18世紀、イギリス海軍の水兵にはラム酒が支給されていました。ラム酒はサトウキビを原料とした西インド諸島原産の蒸留酒です。ラムはアルコール度数の高い強い酒だったため、1742年にイギリスのエドワード・バーノンという提督が、ラムを水で割った水割りのラムを水兵に支給するように命令しました。ところがこの水割りラム酒は水兵たちに大変不評でした。面白くないので、水兵たちはこの水割りラム酒のことを、グログラム(グロッグラム)という生地で出来たコートを着ていたバーノン提督のあだ名から、グロッグ(grog)と呼ぶようにしました。その後18世紀末ころまでには、水割りラム酒のグロッグの方が、飲み慣れて好まれるようになったのです。そしてこのラム酒を度を過ごして飲んでしまってベロベロ状態になる水兵が増えて、その状態をGroggyグロッギーと呼ぶようになりました。現在でも水割りラムはグロッグGroggと呼ばれています。日本で「グロッキー}と行っている人がいますが、正しくは「グロッギー}です。

イギリスのエドワード・バーノン提督のあだ名からGroggy(グロッギー)の言葉ができました。

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今では、ラムは他の利用方法としてケーキやタルトなどの焼き菓子の風合いを増すために多く利用されていますし、レーズンをラムに漬け込んだラムレーズンというものもあります。

ラムレーズンがのったケーキ

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●カンガルー(kangaroo)の名はキャプテン・クックの勘違いから始まった。

オーストラリアに行くとカンガルー(Kangaroo)が目に付きます。この動物は他の大陸にはない有袋類の動物ですが、このカンガルーという名前には面白い話があります。

1770年イギリスの有名な航海士キャプテン・クック(Captain Cook)がエンデバー号(Endeavour)に乗って、豪州大陸を発見しました。シドニー近くから初めてこの大陸に上陸しました。そしてさらに奥地に探険した時、広々とした平原を変わった格好の2本脚で立つ動物が、ぴょんぴょんと跳ねるのを目にしました。そこでキャプテンクックは同行していた原住民に「あれは何んという名前の動物なのか?」と訪ねたところ、原住民は一言「カンガルー」と答えました。その後祖国イギリスに帰ったキャプテンクックは「あの土地にはカンガルーと言う名前の変わった動物がいる」と紹介して、これが評判になり、カンガルー(kangaroo)の名前が定着しました。しかし、キャプテンクックが動物の名前のことを原住民が答えたのだと思っていた「カンガルー」と言うのは、現地の言葉で「私は知らない」を意味するものだったという話です。「知らない」と言ったのが勘違いされてその動物の名前と思い込んでしまったのです。

これには違う説もあります。オーストラリアの先住民の言葉で知らないことを「カンガルー」と表現する言語は見当たらないそうです。さらにキャプテンクックが上陸した時よりもっと前から、この動物の事を「カンガルー」と読んでいた形跡もあるらしい。また現地語で「跳ぶもの」を意味する"gangurru"をこの動物の名前に当てはめていたのではとの説もあります。

オーストラリアのガンガルー

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キャプテン・クックはイギリスの中部のウィットビー(Whitby)港から世界に向けて旅立った。その街にはこのようなクックの銅像がある。

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ちょっと脱線になりますが、類似の話も書いておきます。

現地の言葉を勘違いしてかってに名前を付けたものは他にもあります。例えばメキシコの大西洋側の南部に突き出しているユカタン半島です。ここに昔、上陸したスペイン人が「ここはどこだ?」と現地人に訪ねたところ、現地の人がマヤ語で「ユカタン(お前の言っていることが解らない)」と答えたので、「そうかユカタンか」となって、地名がユカタン半島の名前になったようです。

メキシコ南東部に突き出しているユカタン半島も勘違いから名前が付けられた。

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また、北米のカナダの国名も似たようないきさつがあります。1535年に若い二人のインディアンが、探検家ジャック・カルティエが「あそこは何というのか?」と尋ねられて、「カナタ(Kanata)」と答えた。Kanataとは、彼らの言語で単に「村」という意味でした。探検家は今いる周辺で酋長が支配している地域全体をなんと呼ぼうか困っていました。そしてその地域全体を「Canada」という言葉で呼ぶことにしました。その後植民化が進むにつれて、「Canada」と呼ばれる領域もどんどん拡大していったのです。「Canada」は1547年に地図が作られたとき、“セントローレンス川以北”を指すと定められたのですが、「Canada」の拡大はさらに進みました。18世紀前半になると、現在のアメリカの中西部から南のルイジアナまでをカナダと呼ぶようになったのです。その後アメリカとの国境線が明確化され、現在のカナダという地域全体もカナダという国名になりました。

日本でもちょっと違いますが、外国人との交流の中で、勘違いである言葉になったものがあります。開国まもない横浜のことです。あるイギリス人が持っていた、レンガの入っているバケツを、ある日本人が「その名前はなんというのですか」と尋ねたら、聞かれたイギリス人はレンガのことだと思って「ブリック/brick」と教え、日本人はバケツかその材質のことかと思い、その後その金属製材質をブリキと呼ぶようになりました。 ブリキの漢字の錻力・鉄葉は当て字で、英語はtin plateであり、スズをめっきした鋼板のことです。

●アイルランドのボイコット氏は自分がボイコット(boycott)された。

作業などをボイコット(boycott)すると言うことは、「するべき作業を故意にしない、排斥する」という意味になります。ところがこのボイコットはあるアイルランドの領地管理人の名前からでした。19世紀末、アイルランドにチャールズ・カニンガム・ボイコット(Charles Cunningham Boycott、1823年 - 1897年)という人がいて、ある伯爵の領地を管理していました。当時は農業不況によって小作人との争議が頻発していました。1880年に、借地料を値上げすると小作人たちに通知したところ、小作人達はこれを不満として、彼をいろいろなものから排斥する運動をおこしました。彼の召使達が消えてしまい、地域の商店は彼にものを売らない、郵便は届けない、さらには彼の財産まで破壊し出しました。村人全体が彼との関係を絶つようにしたのです。ついにかれは身の危険を感じて、故国イギリスに逃れました。ボイコット氏は自分がボイコットされたのです。この受身的な形であったボイコット氏の話が、いつの間にかボイコット(boycott)する、すなわち、ある物や人などを排斥するような能動的な言い方になったのです。そして「ボイコット」という言葉は、「隣人や特定集団とが共同で、ある人との付き合いを拒否する」、「商品などを買わないようにする」という意味が広まりました。彼を排斥するは英語で、"We boycott him"になります。

ボイコットは一種の示威行為で、特定の会社や国のものを買わない不買運動や、そこのものを受け入れないようなことが、今でも世界各国でどこかで起こっています。

ボイコット氏は英陸軍大尉だったが、アイルランドの貴族領地の管理人になった。しかしそこでボイコットされてしまった。

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●今はやりのハイボール(High-ball)はイギリスのゴルフ場の休憩時間から生まれた。

最近ハイボール(High-ball)なるお酒が流行っています。しかしこのハイボールは今の団塊世代くらいが若い時期にとても流行ったカクテルでした。それが昨年あたりからぐんぐん若い人まで飲むようになりました。おかげで構造不況のようだったウイスキーメーカーが好調になってきました。

ではハイボールはどんなお酒でしょうか?これは簡単で、ウイスキーにソーダー水を混ぜるだけです。しかしそれが何故HighとBall(高いボール?)なのでしょう。これにはイギリスでのゴルフ場のある出来事が絡んでいるのです。

スコットランドのゴルフ場であるとき、一人の紳士が休憩していました。クラブハウスでウイスキーのソーダ割りを飲んでいたその人は「これは何という飲み物ですか?」とマスターに聞いていました。するとちょうどその時、打ち損じのゴルフ・ボールがクラブハウスの彼の近くに飛び込んで来て、思わずマスターが 「High ball」(高い球) と叫んだのが、お酒のHigh-ballの名前になったのです。

酒売り場には各メーカーのハイボールの缶が一杯。

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しかしこれにも異説があります。アメリカの鉄道の信号機に関連する説です。昔、開拓時代のアメリカ南部の鉄道においては、長い棒の先にボールをつけた「ボール信号機」というものが使われていました。ボールが上がっていれば「進行(go)」で、下がっていれば「停止(don’t go)」でした。当時、ウィスキーのソーダー割が好きな駅員がいて、隣の駅のボール信号を望遠鏡で見ながら、バーボンウィスキーをちびちびやっている時に、ボールが上がるのも見て、ballがhigh(上がる)になったらまもなく列車が来るというので、「それ!」とソーダ水を入れて、一気に飲み干して急いで駅に行ったというのがハイボールの由来という説です。お酒を飲みながら交通の仕事ができるなんて、今では考えられないですね。

アメリカの鉄道はこんなふうにボールを上げ下げして列車の運行をを管理していた。ハイボールはGO(進行)の合図です。ここからお酒のハイボールの名前が生まれた。

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この信号機説には少し違う話もあります。当時の信号機は列車だけでなく、工事労働者への休憩の合図にも使われていました。鉄道労働者たちは休憩時間に好んでウイスキーのソーダ割りを飲んでいたそうです。そしていつからか、そのソーダー割の飲み物に信号機の呼び名から「ハイ・ボール」と呼ばれるようになって、それが定着していったとのことです。

●イチゴは何故ワラの実(Strawberry)なのか。

春になるといちごが出回ります。近頃は温室栽培で実際の露地物より早めに出回っています。この甘くて赤い実のいちごが何故英語でStrawberry(わらの実)になるのでしょうか?

これにはいろいろ説があります。いちごの実を守るために畑に藁(わら)を敷いたからStraw(わら)のBerry(実)という説。またいちごを売るときに、わら(straw)に実を数珠なりに結んでまとめて、マーケットまで持って行ったからとの説があります。strew(地を這い回る:strawの古語)berry(実)との説もあります。さらには、地を這い広がったようないちごの格好が「麦わら」に似ているからとか、実の表面にある小粒の種子が麦わらの切れ端に似ているからの説など、とにかく多くの説があります。いちごはドイツ語ではErdbeereと言い、「Erd(地面に生える)beere(小さい果実)」との意味なので、ここから考えると、strew(地を這い回るberry(実)の説が有力かなとも思われます。

わらを敷いたいちごの畑

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いちごが日本に入ってきたのは江戸時代ですが、あまり食べられていず、本格的に日本人が食べるようになったのは明治時代からでした。

真っ赤ないちごがのったケーキを見ると、気品がある美味しそうな感じがしますね。いちごは果物の中で最も気高きものとされています。聖母マリア様の衣服にもいちごの模様があったとか。したがって、イギリスでは貴族の紋章に取り入れられています。イギリスの若い皇族や貴族の冠にはいちごの葉をつけるならわしがありました。そして皇族の冠にはいちごの葉と百合花があり、公爵の冠にはいちごの葉が8枚、侯爵の冠には4枚、伯爵は8枚のいちごの葉と真珠、子爵は16個の真珠、男爵は6個の真珠のいちご葉がつけられています。英語にも関連して、"strawberry leaves"(いちごの葉) というと、「公爵の身分」のことを言います。日本でも昔、頭にかぶる冠の色で階級つけていましたから、似たようなことをしているのですね。

上品で美味しそうないちごのケーキ

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英語の言葉には多くの小噺や裏話があります。ここに掲げたのはほんの一例です。単なる語源より物語性が多いのを書いてみました。今はやりのお酒ハイボールなど、憶えておいてお酒の席にでも披露すると面白いでしょう。外国人がその国の言葉がわからないので、勝手に変なふうに理解して名付けてしまった言葉は世界中にたくさんあるでしょう。逆に日本人もブリキのように勘違いして和製英語的になっているのが多くあります。勘違いも定着すれば、そこでの標準や歴史の一部になります。まだ類似の話はありますが、それはまたの機会にします。

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内 容 ニックネーム/日時
友達とおしゃべりするのに、格好のトピックスですね。英語の語源や由来はこのような楽しい裏話があると覚えやすいです。Groggy, Kangaroo, Boycott, High-ball, Strawberry,等がわかり易く説明されているので覚えられそうです。Groggy で英語の辞書、グロッキーで国語辞典でひいて見ました。確かに意味は同じでしたね。
Anne
2012/09/09 22:15
Anneさん

先日、友だちとハイボールを飲んでいるときに、その裏話をしたらとても受けて、しばらくはそれで話題が盛り上がりました。今週末に行くコンサートの後の飲み会があるので、どれかを言ってみようかなと思っています。

辞書を引いてもこのようなほとんど裏話は出ていず、また語源辞典にあまり詳しくは載っていません。そうした話題をまた集めていますので、近いうちにブログに載せようと思います。
Jack
2012/09/10 18:23

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