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zoom RSS イギリスのマザー・グースの歌「ロンドン橋」の謎:この橋はどうしてそんなに落ちたのでしょうか?

<<   作成日時 : 2012/08/03 22:30   >>

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ロンドンには橋が多くかかっています。その中で「ロンドン橋」(London Bridge)は過去にとてもよく落ちました。マザー・グースの歌、「ロンドン橋」というのがありますが、この歌には落ちた経過と歌の謎が含まれています。

「マザー・グース」 (Mother Goose) とは、おとぎ話と童謡(ナーサリー・ライムズ :Nursery Rhymes) を中心とした、イギリスの伝承的な話や童謡の総称です。またマザー・グースを作ったかもしれない、イギリスの田舎の名もない女性作家たちのことを指すこともあります。マザー・グースには作者不詳の童謡が多く歌われており、約1,000以上の童謡があります。

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なお、「ロンドン橋」の歌と歌詞(英文・和文)はこのページの下部をご覧ください。

現在のロンドン橋

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タワーブリッジ:これをロンドン橋と勘違いしている人も多い。すぐ隣にある。

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「ロンドン橋」を示す地図

http://maps.google.co.uk/maps?saddr=51.507581,-0.087826&hl=ja&sll=51.508903,-0.086496&sspn=0.008601,0.019205&mra=mift&mrsp=0&sz=16&t=m&z=15&vpsrc=0

★ロンドン橋の歴史

「ロンドン橋」(London Bridge)の最初は、ローマ人により、西暦46年に架けられた木製の橋でした。そして1013年、スヴェン1世率いるデーン人(デンマーク)たちの侵略から守るために、ノルウェーの王オーラヴ2世によって橋は破壊されました。この当時イギリスはノルウェー王に支配されていました。その橋は架け直されたのですが、1091年に暴風雨で破壊され、さらに1136年には、火災により焼失しました。そして、ロンドン橋(London Bridge)の管理者であり、司祭であったピーター(Peter de Colechurch)によって、1209年ジョン王の時代に、33年もかかって、長さ300m、幅7m、水面から高さ10mの石造りの永久橋として、建設されました。この石橋には南側にはね橋があり、中程には聖トマス礼拝堂も建てられていました。1533年には、ヘンリー8世のローマ協会からの分離による宗教改革により、ロンドン橋にあった礼拝堂が取り壊されました。その後この石橋でも、地震、洪水などで何度か流れ落ちましたが、その都度改修、再建されました。そして橋が次第に老朽化し、600年以上長く使用されたので、ジョン・レニー(John Rennie)により、283mの新しい石橋が1831年に完成しました。現在の「ロンドン橋」(London Bridge)は、建築家のジョン・モウレム(John Mowlem)により、1973年に7年かかってかけられました。現在の女王であるエリザベス2世によって盛大な開通式が行われたのです。

このように、「ロンドン橋」 (London Bridge)は、ロンドンを流れるテムズ川に架かる橋では、最初にテムズ川に架けられた古い橋です。こんなことから、この橋にはいろいろないきさつがあり、マザーグース「ロンドン橋」にも歌われるようになったのです。ロンドンにある多くの橋の中で、日本でも最も有名な橋であると言ってもいいでしょう。

ノルウェーのオーラヴ2世はイギリスを支配しており、防御のためロンドン橋を壊した。

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最初の石橋は600年持ちこたえた。

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★ロンドン橋の歌の中の"Lady Lee"や"My Fair Lady"って誰のこと?

「ロンドン橋」には"My fair lady"が繰り返し出てきます。この部分は古い歌では"Lady Lee"になっています。なぜMy fair lady, Lady Leeなのかはっきりしません。そしてこの"My fair lady"や"Lady Lee"とは誰のことを言っているのでしょうか?どちらにしても高貴な女性のようです。まず古くからのLady Leeのことです。

この「レディ」については、ウォリックシャーにあった「レイ」 (Leigh) 家に住んでいた貴族夫人のLeeがモデルではないかという説があります。「レイ」が「リィ」に変わったようです。家を建て替える際に、この夫人は工事人に建材などに色々と注文を出したそうです。そして、その相談のやりとりは次のようでした。

夫人は「何がいいのかしら、嵐が来てもびくともしない材料がいいわ」と主張しました。工事人は提案し「材料はどうしましょう?粘土と木ではどうですか」、「それでは流れてしまいますよ」と夫人が答えました。「ではレンガと石ではどうですか」と工事人が言うと、夫人は「それでは崩れてしまうんじゃないの」言いました。工事人は「では、鋼(はがね)と鉄ならいいでしょう」、夫人は「鋼も鉄も曲がりませんか」と反論しました。ついに工事人が「立派なお屋敷だから、金と銀で作れば大丈夫ですよ」と言ったのですが、夫人は「金と銀は目立って盗まれまれる恐れがあるのでは?」と懸念した。夫人は「とにかく、ずっと倒れないものがいいわね」と主張するものだから、工事人は「そんなにおっしゃるなら夜中に見張り人を立てましょうか」と工事人、しかし夫人は「見張り番が眠ってしまったらどうする」というので、工事人はついに「ではに見張り番にずっとパイプを吸わせて寝ずの番にしたらどうですか」と言ったのですが、これはすなわち「壁に人柱を立てれば崩れないと言われますよ」と言っているのです。そうしたら夫人はなんと、「じゃーそれにして」と言って、人柱まで出してまとまったのでした。こうしたやりとりが歌の題材になっているという話です。

上記と違う説も多くあります。一つは、石橋ができた時代の「エリザベス1世」ではないかというのです。この女王は反逆するものの首を橋にさらし、しばらくすると川に投げ入れたと言われます。エリザベスのことは「エリー」であり、庶民が歌で批判するために、わからないように「リイ」としたのではないか。その証拠に「エリザベス1世」は頑としてこの橋を渡るのを拒んで、ボートで川を渡ったそうです。女王は、この歌がうすうす自分のことを言っているのではないかと感じていたのです。このほか、イギリスの王妃に数人がMy fair ladyではないかとの説もあります。

スペインの無敵艦隊を破ったエリザベス1世はこの歌のMy fair ladyか?

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Lady Leeはロンドン橋のあるテムズ川に流れ込むリー(River Lee)川ではないか、との説もあるが、リー川とテムズ川が合流するところはロンドン橋よりも下流なので、この説には疑問がある。

リー川(River Lee)の地図:ロンドン橋より下流のロンドン・オリンピックの会場近くを流れ、テムズ川に合流しています。

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橋作りには人柱はつきもので、この My fair Lady とかLady Lee というのは人柱にされた女性を指しているのではないかという説もあります。歌の中の「寝ずの番」というのも人柱の意味と言われています。 つまり人柱の役目は、そこに埋められることによってその橋をずっと永遠に守ることだというわけです。

★ロンドン橋あれこれ

ロンドン橋には過去、さまざまなことがあり、何回も改修、建て替えが行われました。ではこの歌に関わる話をちょっとしましょう。

まずロンドン橋は「落ちる」ことを象徴的に歌詞に入れています。そしてその改修、建て替えのための工夫が順に歌詞として歌われています。London bridge is broken downはアメリカでは"is falling down"とすることが多い。この部分の和訳でもロンドン橋が「落ちる」と「落ちた」と過去形のものがあります。どちらがいいとも言えないですが、英語的には「落ちる」であり、日本語的には、過去のことを順を追って言っているのだから「落ちた」の過去形でもいいのではとも思われます。

ロンドン橋は橋が落ちないように、その時代でそれぞれ工夫したようです。昔は橋をかけるときには、工事が無事にすみ橋が崩れないようにと、水の神に捧げる生贄、すなわち人柱がヨーロッパでも日本でもされていました。この歌も最後はそこに行き着くようになっていたのです。素人考えでは、どうして後世に実際作った全て石の上部な橋が出てこないかなと思います。土木技術がまだ未熟な時代を歌ったもので、石やコンクリートは想定外だったのでしょう。

ところで、この歌の最後に、「橋の見張り番に寝ずの番でタバコ吸わせる」というくだりがあります。ロンドン橋の見張り番は13世紀に実際にいて、橋を渡る人から通行税を取っていました。「一晩中パイプのたばこを吸わせる」と歌詞はなっていますが、煙草がイギリスに入ったのは1560年頃でした。タバコは北米原産で、スペインなどからヨーロッパに伝えられました。当初イギリスは、スペインからタバコを輸入していました。喫煙の習慣は次第にヨーロッパ中に広まりました。特に喫煙の習慣をヨーロッパ各国に広めるようになったのは、三十年戦争(1618-48)に従軍した兵士たちでした。イギリスでは、1600年代初めのころからタバコをパイプで吸うようになっていました。ヨーロッパ諸国が参加したこの戦争で,パイプ喫煙に馴染んでいたイギリス,オランダの軍隊は,ロシアを含むヨーロッパ中に、パイプでタバコを吸う習慣を広めました。この当時、疫病の予防になると信じられていたタバコは,各国の兵士たちの必需品だったのです。こうしてみると、ロンドン橋の歌は、最後のところを見る限り、1600年代初め以降に作られた歌ということになります。しかしマザー・グースは伝承的な童謡であり、この部分はあとで付け加えられた、もしくは変更されたのかもしれません。丁度、レディ・リーがマ・イフェア・レディになったように歌は変遷しているのかもしれません。

さて石の橋が1209年に出来ましたが、この橋は非常に丈夫だったので、数百年持ちましたが、痛んで来たので、1831年にアーチ型の石橋に架け替えられます。しかしこの橋は意外と持たずに、1973年に、コンクリート製の橋に架け変わりました。そして古い橋は1968年に解体されてイギリスから船でアメリカへ運ばれ、3年後の1971年にアリゾナ州ボーダーのLAKE HAVASU CITYの地に復元されたのです。そこは現在、レストランやショップが立ち並び、アメリカへ移設されたロンドン橋は今やグランド・キャニオンに次ぐ、アリゾナ州第二の観光名所になったそうです。それでこの「ロンドン橋」の歌には次のような節が付け加わりました。

Yankee Doodle keep it up   
ヤンキー(アメリカ人)が持ってった
Keep it up, keep it up      
持ってった、持ってった
Yankee Doodle keep it up   
ヤンキーが持ってった
My fair Lady.           
マイフェアレディ。

詳しくはこちらのページを参照ください。

http://www.ladyweb.org/usa/media_release/03_01.html

アメリカ、アリゾナ州に移設された「ロンドン橋」

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なお余談ですが、ミュージカルの「マイ・フェア・レディ」というタイトルはこのロンドン橋が元になったいます。下品な花売娘を金と銀で着飾って、言葉使いも上品にして、上流階級の貴婦人に仕立て上げる物語が、ロンドン橋の粘土と木から次第に金銀まで変わる話に似ているからです。違う説では、My Fair Lady(マイ・フェア・レディ)のタイトルは、Mayfair lady(メイフェア・レディ)をロンドンの下層階級の言葉であるコックニー訛りで表現してもじったものとの話があります。メイフェア(Mayfair)は昔はロンドンの閑静な住宅地であり、今は高級店舗がならぶあるロンドンの地区の名前です。Fairは「公正な、綺麗な、色白の」という意味だけでなく、この映画の場合、「口先だけ、うわべだけ」の意味をかけているようです。

オードリー・ヘップバーン主演のミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」

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では下記に「ロンドン橋」の歌と歌詞を書いておきます。合わせてほかの「マザー・グースの歌詞」のページもリンクしておきますので、他にどんな童謡があるかご覧ください。

マザー・グースの歌集(歌詞:英和分)

http://mother-goose.hix05.com/

「ロンドン橋」の歌
(下記の英文歌詞とは多少違います)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
マザー・グース「ロンドン橋」(London Bridge)
英文歌詞
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
London Bridge is broken down,
Broken down, broken down.
London Bridge is broken down,
My fair lady.

Build it up with wood and clay,
Wood and clay, wood and clay,
Build it up with wood and clay,
My fair lady.

Wood and clay will wash away,
Wash away, wash away,
Wood and clay will wash away,
My fair lady.

Build it up with bricks and mortar,
Bricks and mortar, bricks and mortar,
Build it up with bricks and mortar,
My fair lady.

Bricks and mortar will not stay,
Will not stay, will not stay,
Bricks and mortar will not stay,
My fair lady.

Build it up with iron and steel,
Iron and steel, iron and steel,
Build it up with iron and steel,
My fair lady.

Iron and steel will bend and bow,
Bend and bow, bend and bow,
Iron and steel will bend and bow,
My fair lady.

Build it up with silver and gold,
Silver and gold, silver and gold,
Build it up with silver and gold,
My fair lady.

Silver and gold will be stolen away,
Stolen away, stolen away,
Silver and gold will be stolen away,
My fair lady.

Set a man to watch all night,
Watch all night, watch all night,
Set a man to watch all night,
My fair lady.

Suppose the man should fall asleep,
Fall asleep, fall asleep,
Suppose the man should fall asleep?
My fair lady.

Give him a pipe to smoke all night,
Smoke all night, smoke all night,
Give him a pipe to smoke all night,
My fair lady.[1]

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ロンドン橋」
和文歌詞
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ロンドン橋が落ちる
落ちる 落ちる
ロンドン橋が落ちる
マイフェアレディ

粘土と木でつくろうよ
粘土と木で 粘土と木で
粘土と木でつくろうよ
マイフェアレディ

粘土と木では流される
流される 流される
粘土と木では流される
マイフェアレディ

れんがと石でつくろうよ
れんがと石で れんがと石で
れんがと石でつくろうよ
マイフェアレディ

れんがと石では崩れるよ
崩れるよ 崩れるよ
れんがと石では崩れるよ
マイフェアレディ

はがねと鉄でつくろうよ
はがねと鉄で はがねと鉄で
はがねと鉄でつくろうよ
マイフェアレディ

はがねと鉄では折れ曲がる
折れ曲がる 折れ曲がる
はがねと鉄では折れ曲がる
マイフェアレディ

金と銀でつくろうよ
金と銀で 金と銀で
金と銀でつくろうよ
マイフェアレディ

金と銀ではぬすまれる
ぬすまれる ぬすまれる
金と銀ではぬすまれる
マイフェアレディ

寝ずの見張りをたてようか
寝ずの見張りを 寝ずの見張りを
寝ずの見張りをたてようか
マイフェアレディ

もしも見張りが眠ったら
眠ったら 眠ったら
もしも見張りが眠ったら
マイフェアレディ

一晩中パイプをすわせよう
一晩中 すわせよう
一晩中パイプをすわせよう
マイフェアレディ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「マザー・グースの歌」ってどこかで聞いた曲が多くあり、懐かしさを感じます。これらには、それぞれ興味ある隠れた背景があるようですが、それはまた別の機会に書く事にします。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ロンドン橋にまつわるお話し色々あって面白いですね。実際に昔、橋を見た時、この背景を知っていたらもっと楽しく想像しながら見れたでしょうね、残念です。マイフェアレディの物語がロンドン橋が元になったとされる話興味深いです。上流階級の貴婦人に仕立て上げられるのが、橋の粘土と木から次第に金銀にまで変る話に似ているとは、ヘップバーンもご存知だったのかしら?面白かったです。
Anne
2012/08/05 22:42
Anneさん
ロンドン橋が多く落ちた回数は、ギネスで世界一に登録されているそうです。世界には多く落ちた橋はたくさんあるでしょうが、歴史的に証明するのはむつかしく、この橋が現在は世界一になっています。映画My fiar ladyのタイトルも、以前からどうしてこのタイトルなんだろうと思っていました。英語であまりFair ladyとは表現しないような気がしていたのです。こんな背景があったのですね。映画のタイトルも追求してみると、意味深なものがあります。
Jack
2012/08/06 15:52

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